FCB練習日記

いったいおれ どうな て

神の見えざる手

10月。我々は超古代文明の遺産たる都営新宿線に乗り、クリスタルタワーホール船堀に到達した。旅の終わりが近づいたことを予見しながらも、この先に待ち受ける長大な苦難の道のりを知ることなく……。

この日、私ことtubaパートのトンキーが練習室の扉を開けると、バイクに乗った人相の悪い男が蹴り倒されて落車するところであった。その後も凶悪なスケバン、拳銃を構えた暴力的な団体の人などが次々に現れては殴り倒され、投げ飛ばされてゆく。
不思議なのは、彼らを攻撃している者の姿が見えないことだ。一体何をしているのかよく分からないが、おそらくは神を相手に相撲を取るといった、古代から続く神事の類なのだろう。*1

その後も奇妙な光景を数多く目にしたが言語化が難しいため省略する。
昼食を挟んで合奏練習が始まった。かつて演奏した実績のある曲目といえども決して容易ではなく、思うようにテンポが上がり切らない。5人の少年がちょっとした探検気分でバンドを結成して20余年、音楽監督の「俺たち、歳取ったんだな」という慨嘆が練習室に響く。

けれども歩みを止めるわけにはいかない。音楽は迷宮のごとく我々を惑わせる。誰かが何かに気づいて叫ぶ、「ユリイカ!」と。しかしそれは新たな迷宮への入り口を見つけたに過ぎないのだ。
更なる力を求めて我々は迷宮の奥へと踏み込む。

*1:くにお君欠席の中、熱血硬派くにお君の練習を決行したため発生した現象と思われます。