FCB練習日記

いったいおれ どうな て

クリスタルは、ただ静かにその光を湛えていた

ご無沙汰しておりました。チューバパートのトンキーです。
あれからずいぶん経ちましたが、皆さまお変わりありませんか?


2006年7月、8thライブを終えて眠りについたファミコンバンド
メンバーは会社へ、学校へ、かりそめの日常へと散っていった。
まことの姿を押し隠し世間の常識という幻想に迎合せざるを得ない日々。
それは、もがくほどに魂をすり減らす毒の沼地であった。


季節は酷薄に巡った。


4月13日、高円寺。
静かな日曜日の夕方、この街に奇妙な一団が降り立った。
さまざまな楽器を手にした、年恰好もばらばらな集団。
あらためてかれらの名前を告げる必要はあるまい。
いま、端子部に積もったほこりを吹き飛ばし、
黄ばみかけたファミコンにふたたびカートリッジを差し込む時が来たのだ。



そういえばこの前ニンテンドーDSのマニュアルを読んだら
「端子部に息を吹きかけないでください」とか書いてあったんですが、
じゃああの頃僕たちが必死にフーフーやってたのは何だったんだ。



……いや。DSのマニュアルが何を言おうと、
僕たちは幼い日に信じた大切なものを持ち続ければいい。
バグることを恐れちゃいけない。
大好きなあの画面がよみがえる瞬間まで、信じて吹き続けることだ。
たとえ呪いの音楽が流れ冒険の書が消え失せても、
僕たちは悲しみを乗り越えてもう一度歩き出した。そうじゃないか?



何の話でしたかね。え、練習のようす? 
ああ、これ練習日記でしたっけ。いいですとも!



この日FCBは新たな指揮官を迎え、高円寺某所の貸しスタジオにて、
9thライブのメインとなる曲目の初合奏を行いました。まだ多くを語れないのですが、
「最後の物語の4番め」みたいなタイトルのRPGがありますね、世の中には。
昨年リメイク版が発売され、久しぶりにその世界に浸った方も多いのではないでしょうか。


シリーズでおなじみのあの曲この曲、美しいフィールドの音楽、
そして完全に暗黒なアイツとの戦い。名曲ぞろいです。
まだまだ先は長いとはいえ、メンバーは確かな手ごたえを得ました。
今後の練習でどれだけ経験値を稼げるかが勝負ですが、
音楽の世界にメタルスライムはいない。だから少しずつ進んでいくしかありません。


こうしてファミコンバンド9回目の冒険は幕を開けた。
約束の地、川崎市教育文化会館を目指す半年がかりの旅。
ひとりでも多くの皆さまに、10月12日、この旅のクライマックスを
見届けて頂きたいと思います。皆さまのご来場をお待ちしております。